学園からのお知らせ

〈学校長〉令和4年度卒業式式辞

2023年03月01日(水)

厳しい冬の寒さも和らぎ、春らしい穏やかな日になりました。普通科90名、音楽科15名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
また、保護者の皆さまにおかれましては、お忙しい中、ご臨席を賜り厚く感謝申し上げます。担任の呼名に凛として立つ我が子の姿に、感慨もひとしおかと存じます。心よりお祝いを申し上げます。そして、これまで本校のために多大なるご支援、ご協力を賜りましたこと、厚くお礼申し上げます。

さて、皆さんの卒業にあたり、一冊の本を紹介したいと思います。それは「置かれた場所で咲きなさい」というノートルダム清心学園前理事長 渡辺和子さんのベストセラーです。この著書名は、アメリカのラインホルド・ニーバーという神学者の「神が植えたところで咲きなさい」という英語の詩から引用されましたが、置かれたところで、我慢しなさいというネガティブなものではなく、人間として生まれたからには、どんなところに置かれても自分の花を咲かせよう、いかなる状況でも「咲く」努力を忘れてはいけないという、ポジティブなことが書かれています。そして、本には「どうしても咲けない時もあります。雨風が強い日、日照り続きで咲けない日、そんな時は無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。」と続きます。
皆さんの高校生活は、新型コロナウイルスに翻弄された3年間でした。しかし、皆さんは、これまで経験したことがない状況下であっても、さまざまな学びや人との関わりを糧として逞しく成長しました。活動に制限がある中、文化祭や体育祭などの学校行事を創意工夫して行い、部活動でもリーダーシップを発揮するなど、後輩に優しく範を示し、伝統を繋いでくれました。皆さんの努力に心から敬意を表します。

そして、皆さんの人生の本番はこれからです。
現在、地球上にはさまざまな問題が暗雲として漂い、私達の日常にも影を落としています。
先行きが不透明なこれからの時代を、何も憂うことなく生きていくことは大変なことです。そういう中でも、人は希望を持って未来を生きていくことが大切です。
人生100年時代、それを考えると皆さんの歩みは、まだ5分の1ほどです。

そこで、皆さんに、これからも心掛けてほしいことを2つお話しします。

まず、皆さんは本校で、グローバル化とAIの進展が背景にある現代社会の変化に柔軟に対応するため、英語力やICT活用力、自ら課題を見つけ、考え、発信する力を鍛えてきました。それらをさらに磨き続けて、自分を高め、人生の選択肢を広げてください。新たに学習すべきことも出てくるでしょう。学びに終わりはありません。心掛けてほしいことの1つ目は「学び続ける」ということです。 

次に、女性には、多様な生き方、働き方があって、人生は選択や決断の連続です。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあります。しかし、二兎を追わないと二兎を得ることができません。皆さんには是非、仕事に、家庭に、趣味に、社会貢献にと、二兎も三兎も四兎をも追いかけてほしいと思います。チャンスを待つのではなく、目標に向かって、失敗を恐れず果敢に挑戦してください。転んだら起き上がればいいんです。2つ目は「挑戦し続ける」ということです。

本校で育んだ温かい思いやりの心で、人との繋がりを大切に、そして何よりも自分自身を大切にして、人生の醍醐味を大いに楽しんでください。
私達教職員は、皆さんをこれからも応援していますので、遠慮をせずに母校を訪ねてください。

終わりに当たりまして、本日の卒業を祝って、ご列席いただきました保護者の皆様に重ねて御礼を申し上げますとともに、卒業生一人ひとりの健康と輝く未来に幸多からんことを心より願い、私の式辞といたします。

令和5年3月1日
北鎌倉女子学園高等学校
校長 佐野朗子