文芸部

「谷崎潤一郎展」レポート～その１～

2015年04月20日(月)

神奈川近代文学館で開催中（４月４日～５月２４日）の「谷崎潤一郎展～絢爛たる物語世界～」に行ってきたので、そのレポートを記してみよう。　副部長：K.O. 

  神奈川近代文学館の谷崎潤一郎展では、谷崎の生き方と作品のつながりに関しての展示が多く見られた。「異端者の悲しみ」「神童」などの自伝的小説だけでなく、「痴人の愛」などの名作も谷崎の私生活の中からインスピレーションを受けたものだという。関東大震災と三度の結婚、特に三人目の妻で谷崎の【永遠の女性】である松子との出会いが深く作品にかかわっている。

◇関東大震災が背景にある作品「卍」「春琴抄」「盲目物語」「細雪」など日本の文化的な話を文化的な言葉で表現した作品が増える。これらを読むと、日本語の美しさを確認し、日本語を読めて良かったと心より思うことになる。

◇私生活が背景にある作品「痴人の愛」一人目の妻、千代の妹、せい子がモデル「猫と庄造と二人のをんな」二人目の妻、丁未子と松子と愛猫ペルがモデル「細雪」松子と松子の妹がモデル「瘋癲老人日記」義理の娘(松子の連れ子の妻)、千萬子がモデル、など結婚や離婚をくり返し、手本としたくない結婚生活のようにも思えるが、その結果これらの名作が生まれたとなると、一概に悪いとは言えない。 （続く）

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