入試に関するお知らせ

学校長 新年のご挨拶

2011年01月01日(土)

新年あけましておめでとうございます。

新しい年が若者にとって希望と夢にあふれた年になることを願っております。その為には経済的豊かさだけを追い求めていくことが幸せにつながらないということを、大人の責任で発信していく必要があると思います。

昨年の暮、平成23年度予算案が閣議決定されました。税収40.9兆円に対し歳出92.4兆円と大幅な歳出超過予算となりました。その不足分は国債44.3兆円等で賄います。2年連続で国債発行額が税収を上回るということになりました。この国債という借金は誰が返済するのでしょう。孫の代あるいはこれから生まれてくる世代が負担することになります。それでよいのでしょうか。将来の若者の犠牲の上に、自分達の経済的豊かさを維持することが許されることでしょうか。何十年続いている国債依存体質から抜け出て、自分の収入の中でやりくりする生活、身の丈に合った暮しに転換していく必要があるのではないでしょうか。

子供は大人の後ろ姿をみて育ちます。中2の道徳の時間に、人間にとって大切なものは何ですか?という質問をしました。自分の命が大切であるという答えが返ってくることを想定し、命は確かに大切である、しかしその大切な命を賭して守っていかねばならないものが人にはある。それが愛する人である場合もあれば、正義を貫くためである場合もあると話を展開していきました。愛する人の所では頷いていた生徒たちも、正義の所では首を傾げている者もおりました。あるクラスでは人間にとって大切なものは、お金であるという答えが返ってきました。ありうる答えであると思いました。金銭至上主義の大人の社会の影響を子供たちも受けています。命がけで正義を貫くという事に首を傾げたのは、命がけで何かを成し遂げようとしている大人の姿が見えないからです。

マザーテレサが来日した時、ある人がマザーに質問しました。日本はこんなに物質的に豊かなのに何故、我々の心は豊かさに欠けるのかと。マザーは、与える事をしないからです。人は与えることによって豊かになれるのですと答えました。12月下旬のBSワールドニュースで、韓国では市役所に「魔法の米櫃」が置いてあるというニュースが取り上げられていました。市役所を訪れる人達がいくらかのお米を米櫃に寄付していきます。貧しい人達がこの米櫃から自由に米を貰って行くことが出来るそうです。人々の善意で取っても取ってもお米がなくならない魔法の米櫃が韓国にはあるのです、日本にも昔から惻隠の心という人を思いやる心がありました。金銭至上主義から抜け出て、本当の豊かさは物質的なものではなく心を豊かにするということであるということを次世代に伝えていく必要があると思います。