入試に関するお知らせ

4月7日(土)、始業式が行われました。(校長先生の談話)

2012年04月09日(月)

新年度の始業式が4月7日に行われました。校長先生のお話、個人表彰、新任の教職員紹介、新担任の発表が行われました。
以下に校長先生のお話の全文を掲載いたします。

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平成24年度始業式

新しい学期が始まります。昨年度より充実した一年にしていただきたいと思います。

その為には、各自が昨年度より高い目標を設定し、その目標に向かい邁進することが必要です。

高校三年生に申し上げます。あなた達が学校へ登校する日は、夏休みを除くとあと8ケ月です。この8ケ月で北鎌倉女子学園を卒業するにふさわしい人間力と学力を身につけねばなりません。一分一秒を無駄にすることなく過ごして下さい。

3月の日経新聞に慶応大学と青山学院大学の経済学部の教授による震災後の日本人の価値観の変化という小論文が投稿されていました。他人を重視する価値観が震災を契機に変化したという事を述べています

震災後他人を重視するという気持ちが高くなった人、変わらない人、気持が低くなった人の割合を、全国規模で比較しています。震災後他人を重視する傾向が強くなったと回答している人の割合は、全国が35%、東北3県(青森、山形、秋田)が43%、被災3県(岩手、宮城、福島)が44%となっています。

被災3県の割合が東北3県とあまり変わらないのは、宮城県の特殊事情があります。

他人を重視する割合が震災前に比べて低くなったという回答は、どの地域も5%位で地域による差は見られませんが、宮城県だけは20%と高くなっています。これは宮城県は震災や津波による直接的な被害が最も大きい地域だったので、震災後は自分や家族の事だけで精一杯で他の人の事を考える余裕がなかったのです。このような宮城県の特殊事情はありますが総じて言えば、震災後、日本人は他人を思いやる気持ちが強くなった、そしてその傾向は、被災地に近いほど大きいという事が分かりました。このアンケートは、大人の考えを表しています。では子どもたちはどのようにとらえているのでしょう。震災が子ども達の心にどのような影響を与えたか?本学園の中二の道徳の時間に生徒達に同様のアンケートを取ってみました。震災後自分よりも他人(家族以外)の事を考えるようになりましたか?という問いに対して、前より考えるようになったと答えた者が81%、変わらないと答えたものが19%となりました。この結果から言えることは、子どもたち少なくとも本校の生徒達は、震災を境にして他人を思いやる気持ちの大切さを一層強くしたという事です。本学園の生徒達の他を思いやる優しい心は、生徒達自らが創り出したこの学園の文化なのです。先輩から後輩へと受け継がれている大切な文化です。来週の月曜日に新入生が入ってきます。新入生にもこの文化をきちんと伝えていって下さい。もう一つ大切にしてほしい文化があります。終業式の時にお話しした、学力に関する学校評価の結果です。年度重点目標の中の「授業や読書を通して学ぶ楽しさを発見出来るようにする」事を達成した割合が最も高かったのが、高三生であったという事です。高三の授業内容が一番難しいわけですから普通に考えれば、楽しさを感じることは難しい事になります。高三生が受験に臨んで勉学に真剣に取り組んだ結果であると思います。学問の楽しさは他人から与えられるものではありません、自分で体得する物です。新高三生もこの文化を引き継ぎ更に多くの生徒が「学ぶ楽しさ」を味わえるように努力して下さい。又、下級生も楽しさを味わえるように努力して下さい。

中二生にもう一つアンケートに答えてもらいました。震災後、経済的豊かさより精神的豊かさを大切に思うようになったか?という質問に対して、前より思うようになったが85%、変わらないが13%、前の方が思っていたが2%という結果でした。この質問は、大学の先生は行っていませんが、記事の最後に次のようにまとめられています。

これまでの経済学は、金銭的な活動や人々を物質的に豊かにすることについて研究してきた。しかし、これからの経済学は精神面の豊かさ、自然災害に対する危機管理、新しい共同体意識の構築も主要な研究の課題となるであろうと。

第二次大戦後価値観が変わったように、震災後も価値観の変化が起きるのかもしれません。

新しい社会をつくっていくのは皆さん若い人達です。価値観が変わるようなときに、何に基づいて行動すれば良いのか。それは原点に戻ることです。物質的豊かさとは何か?精神的豊かさとは何か?幸せとは何か?原則から考えていって下さい。皆さんにとって良い一年であることを祈っています。

ごきげんよう。