
2014年07月20日(日)
明日から夏休みです。様々な事に挑戦することと思います。
受験に挑戦、部活動での挑戦、自分の取り組んでいることへの挑戦、これからの話は挑戦する際の参考にして下さい。
日本のシンクロ界の母と言われる井村雅代さんの話です。
井村さんは、シンクロナイズドスイミング日本代表のコーチとして、
シンクロが正式種目となる1984年のオリンピックから2004年のアテネオリンピックまで毎回日本にメダルをもたらし、
アテネではデェエットも団体も銀メダルを獲得しました。
2008年の北京オリンピックでは日本チームのコーチをはずれ中国チームのコーチとなります。
今までシンクロでメダルを取ったことのなかった中国は、
北京オリンピックの団体で銅メダルを獲得しますが、一方日本は団体でメダルを獲得できず、デェエットのみ銅でした。
北京の次のロンドンオリンピックでは中国は団体銀、デェット銅と井村コーチのもと素晴らしい結果を残します。
一方日本は団体もデェットをメダルなしという悲惨な結果となりました。
井村さんが中国のコーチとなった時、裏切り者・国賊というひどいことを言われました。
週刊誌・テレビなどのメディアがあおったのです。
図書館で当時の新聞を調べてみましたが、新聞の記事もどちらかというと批判的ですし、
週刊誌の広告欄には痛烈な批判の言葉が見られます。
皆さんに先ず申し上げたい事、マスコミをうのみにしてはいけません。
マスコミは一方的にあおる性質があります。
事実を調べたうえで冷静に判断することです。
井村さんが何故中国のコーチ引き受けたのか。
井村シンクロチームの選手が日本選手権で上位を独占します。
日本水泳連盟からあなたの選手は素晴らしい結果を残したので日本の代表として国際試合に行ってください。
但し井村さんは国内支援コーチという国内だけのコーチで国際試合にはコーチとして参加できませんと言われたのです。
コーチというのは試合で選手がよい結果を出すためにいるのですから、
大切な試合の時にコーチできなければ意味がありませんので、
国内だけの支援コーチは引き受けませんと答えたら、すべてからはずされました。
そのような時に中国やイギリスからコーチ要請があったのでアジアの国のコーチを引きうけたのだそうです。
シンクロはフィギャースケートやダンスと同様芸術性がある採点競技です。
採点者はヨーロッパ人が多いのでどうしてもヨーロッパに甘く、アジアには辛くなる。
アジアのシンクロの地位向上のためにも、日本の為にも中国のコーチを引き受けたのです。
それが裏切り者ですか。国賊となりますか。私はならないと思います。
井村さんの勝利の秘訣は、1、競争 2、目標 3、心です。勝利の条件にこの3つをあげた人がもう一人います。
2000年のシドニーオリンピック女子ソフトボール銀メダルの宇津木妙子監督です。
お二人の思いが表れている本があります。「女は女が強くするという本」です。
先ず競争です。井村さんが日本でも中国でも成功したのは選手たちに競争させたからです。
競争はよくないという人もいますが、競争というのは誰にでも一番になるチャンスがあるということです。
大切なことは競争して勝った者が人間として一番ではないということ。
シンクロ一番、数学一番、かけっこ一番の子がいる、優しさ一番の子もいる、皆同じようにそれぞれの分野において尊いのです。
2つ目が目標です。中国チームは北京で銅メダルを取りました。
次のロンドンでは銅の上の銀しかないのです。井村コーチがロンドンでは銀を取るときめました。
取れたら取ろうではありません。決めてしまったらそれを達成するためにどうするか。
達成までのチェックポイントを作ります。調べて行くとチームの取り組みが大幅に遅れていることが分かりました。
遅れたので最終目標を下げて銅メダルでもいいやとは考えなかったのです。
絶対に妥協しないことが大切です。遅れていても最終目標を修正せずに、より頑張らせるしかないのです。
その為には練習しかありません。
頑張らせるために井村さんが中国チームに課したことそれは「1ミリの努力」です。
ある選手が垂直飛びを40センチ飛べたとする。
3ヶ月後に50センチ飛びなさいと言って目標設定をすると、それは無理だと思います。
無理だと思ったら達成できません。
その時に明日40センチと1ミリ飛びなさいと言うと、
飛べなかったら悔しいし、飛べる気がするので、練習し飛べるようになるのです。
1ミリ多く飛ぶことを続けて行けば3ケ月後に50センチに達するのです。
この様にして中国チームは銀メダルを獲得したのです。
ここから我々が学ぶこと。
それは、目標は大きな目標と日々の小さな目標この両者の設定が必要だということです。
受験勉強にも役立つのではないでしょうか。
高3生の皆さん6か月先の大きな最終目標と日々の小さな目標をたてて夏を乗り越えて下さい。
「夏を制する者受験を制す」と同時に「自己を制する者受験を制す」です。頑張ってください。
最後に一番大切なのは心の才能だと言っています。
シンクロの才能は手が長い、足が長い、体が柔らかい、水との一体感がある等色々あるそうです。
水から出たとき体に付いている水滴をみるとコロコロと玉になって転がるきめ細かい肌をしている選手がいるそうです。
水と一体感がありシンクロ向きだそうです。でも一番大切な才能は心の才能とおっしゃっています。
心の才能のない人とは、自分は努力していた、頑張ってやっていた、
初めはうまくいったけれど行かない時が来た、
スランプが来た時にきっと自分にはこれが向いていないから、これはやめて次のことをやろうとする事です。
自分はこれに向いていないとそこから逃げる人は心に才能のない人です。
うまくいかなかったのは頑張りが足りなかった、
努力の仕方が足りなかったからもっと頑張ろうと言ってやれる人は、何でも乗り越えられます。
心の才能が一番大切なのです。と井村さんは信じてチームを育ててきました。
夏に挑戦する人のヒントになったでしょうか。競争・目標・心を大切にして頑張ってください。
前のお知らせ:北鎌よもやま話No.224「新・セーラー服折り紙完成!!」
次のお知らせ:しぶごぶ先生の中学入試合格への道 No.051