入試に関するお知らせ

夏休みがあけました。授業始めの式での校長先生のお話をご紹介します。

2014年09月01日(月)

この夏休み印象に残ったことを話します。
先ず毎日学校へ来て勉強をしていた高校三年生がいました。
家でやるより学校の方が効果が上がり、集中できるということだそうですが、休み中、学校に通い続けたことは立派です。
勿論、家で頑張った人も沢山いると思います。
学校でも家庭でも学習を継続するには我慢する心、意思の強さが必要です。
受験勉強の直接の目的は大学合格ですが、勉強の究極の目的は人を作ることです。
我慢する心が己を制する心を育て、休みを通して大きく成長出来た人たちが沢山いることを大変嬉しく思います。

勉強だけでなく部活動でも暑い中頑張っている人が沢山いました。
腕を骨折した生徒が三角布で腕をつりながら練習していました。
猛暑の中での部活動の継続も己を制することで達成できます。
休み中鍛えたことをもとに、秋以降もさらに大きく成長して欲しいと思います。

もうひとつ、印象に残ったことがあります。
7月19日の授業納めのことです。実は授業納めの話で、一つ大切なことを言い忘れてしまいました。
毎年話の最後に、この後でダンス部の壮行会がありますが頑張ってきてください、
と言う激励の言葉を申していたのですが、今回その言葉を言うのを忘れてしまったのです。
式が終わってからダンス部の顧問の先生に激励の言葉を忘れたことを謝罪しましたら、
その顧問の先生は納めの話そのものが激励と受け止めています、とおっしゃって下さったのです。
納めの話はシンクロナイズドスイミングコーチの井村雅代さんの話でした。
内容は勝利の為には、競争・目標・心が大切だというものでした。
私はダンス部向けに話したわけではありませんが、山森先生はダンス部への激励と受け取ってくださったのです。
そしてさらに私が驚いたのは、ホームルームノートにダンス部の部員が、
納めの式での校長先生の話はこれから神戸大会へ挑戦する今の私自身に向けて言われているような気がして、
私の心にダイレクトに伝わってきました。
校長先生からエールを送られたようでとても嬉しかったです。
目標に向かう時に自分の前に壁がたちふさがっても、そこでくじけずに心を強くして頑張りますと書いてくれていたのです。

ホームルームノートを読んだ時、松下幸之助さんの「風の音を聞いて悟る」という言葉を思い出しました。
松下幸之助さんは、松下電器産業の創業者です。
家が貧しく小学校を中退し、9歳で丁稚奉公に出ます。
その後、厳しい試練を経て一代で松下電器産業、現在のパナソニックという会社を創り「経営の神様」と呼ばれました。
その松下さんが、人は話をするよりも話を聞くほうが難しい。
いくら良い話をしても聞く心がなければ何も得ることはできんが、聞く心があればたとえつまらん話を聞いても、
木立を鳴らす風の音を聞いても悟ることが出来る人は悟ることが出来る、とおっしゃいました。

何故、顧問の先生と部員がまったく同じように私の話をとらえていたのでしょう?
それは、顧問の先生も生徒も同じ問題意識を持っていたからだと思います。
ダンス部は毎日良い作品を作ろうと努力しています。しかしうまくいきません。
毎日がテーマを表現できない苦しみの連続です。
その苦しみを顧問の先生と生徒が同じように共有し、
何とかして自分たちの前の大きな壁を乗り越えようとしていたのだと思います。
そのような問題意識があったから、私の話を自分たちへの激励、エールと受けとってくれたのだと思います。
顧問の先生の心と部員の心が一つになるということは素晴らしいことだと思いました。

松下幸之助さんの「風の音を聞いて悟る」は、意識を持って人の話しを聞きなさい。
そうすれば理解でき、やがて悟ることが出来ると言うことですが、
もうひとつ、目標をもって生きなさい、目標を持って歩み続けなさい、
そうすれば様々なことから悟ることが出来るという意味にとることも出来ます。
目標に向かい勉強に取り組んでいる方、部活動に取り組んでいる方、歩み続けて下さい。
そして、その途中で様々なことから学ぶことで、人間的に大きくなっていって欲しいと思います。