入試に関するお知らせ

9月27日(土)前期終業式が行われました。校長先生のお話全文を掲載します。

2014年09月27日(土)

おはようございます。

ある評論家が、現代においてきれいな人は余るほどいるが、
美しいひとはだんだん少なくなっている気がすると言っています。
きれいと美しいは同じような意味で使うことが沢山ありますが、異なるところもあるようです。
今日は美しいときれいの違いについて考えてみましょう。
そして美しくなるには美しく生きるにはどうしたらよいかも考えてみて下さい。

マザーテレサが初めて日本を訪れた時に、一番驚いたのは日本のきれいさでした。
街並み、建物、人々の服装、すべてがきれいだったのです。
しかし、マザーは次のようなことを言われました。
きれいな家の中に、もしも親子の会話、夫婦のいたわりあい、微笑みがないとしたら、
インドの粗末な小屋の中で、なか睦まじく暮す家族の方が豊かで美しい。
きれいと美しいの違いの一つが、マザーテレサのこの話から分かります。
きれいさはお金で買うことが出来るが、美しさはお金で買うことが出来ないということです。
きれいな建物やきれいな服はお金をかければ創り出すことが出来るし、お金で購入することが出来ます。
しかし、いたわりあいや微笑みはお金で買うことができません。お金で買うことが出来ないものそれが美しさです。

坂村臣民という詩人が、卒寿を迎えるおばあさんの美しさこそ本当の美であると書いています。
卒寿の卒は卒業の卒、寿はことぶきと書きます。
卒業の卒の略字は九ノ下に十と書きますから90歳のお祝いを意味する言葉です。
90歳になる知人のおばあさんが手作りのものを、
電車に乗りバスに乗って臣民さんに届けてくださったのですが、
おばあさんと話をしていると心が落ち着くのだそうです。
他人への思いやりの深さと真摯さが、磨かれた宝石のように美しくさわやかであったそうです。
風が出てきたので降らないうちにと帰って行かれた後姿に、思わず手を合わせて合掌したそうです。
そして晩年の美しさこそ本当の美であると思ったそうです。
この話から分かることそれは、年をとるときれいさはなくなりますが美しさはなくならないということです。
きれいさは時とともに変化消滅するが、美しさは時を超えて存在するということです。

夏暑い中、汗みどろ、泥まみれになって運動している中高生はきれいではないが美しく輝いて見えます。
より高い目標に向かい懸命に努力している姿も美しいものです。

これらのことよりまとめると、きれいさが表面的なものであるのに対して、
美しさは内面より、心の中からにじみ出てくるもののようです。

私が皆さんの中に発見した美しさをお話しましょう。
まず、お辞儀の美しさです。

普段、皆さんと廊下であったり、授業の時に挨拶する時には感じませんが、
少し離れた所から皆さんを見ていた時に、美しさを発見しました。
パシフィコ横浜で受験生対象の相談会が開催されていますが、昨年から生徒の参加が認められました。
先生と生徒が交互に椅子に座り、受験生や保護者から相談を受けるのですが、
少し離れていた所から見ていた時、先ず座っている姿勢が美しいと思いました。
背筋がピンと伸びている。そして終了しての挨拶が美しかった。
この挨拶の美しさは先輩から受け継がれている北鎌のDNAだと思います。
今から15年前の春の選抜高校野球開会式で、皆さんの先輩の市原愛さんが君が代を独唱しました。
夏の高校野球は朝日新聞社主催ですが、春は毎日新聞社主催です。
毎日新聞は全日本学生音楽コンクールも主催していますので、
このコンクールの声楽部門優勝者がこの年から開会式で君が代を歌うようになったのです。
あの甲子園でのセーラー服姿の市原さんの歌声に、全国から賞賛の電話や手紙が学校にきました。
その中に歌も素晴らしかったがお辞儀が美しかったという声が沢山届きました。
私もテレビで見ていましたが、本当に美しいお辞儀でした。
これからも心のこもったお辞儀を大切にしていきましょう。

二つ目は、友情です。
9月に行われた合格体験を聞く会で友情の美しさに気付きました。
今年大学に合格した卒業生が体験を話すのですが、すんなりと合格していた人だけではないのです。
第一志望に不合格になったり、合格した大学の一回目の試験に失敗したりしている人がいるのです。
そんな辛い時に一緒に泣いてくれた仲間、励ましてくれた仲間がいたので栄冠を勝ち取れたと語ってくれました。
友情は美しいと表現します。きれいな友情とは言いません。友を大切にしましょう。

三つ目は気配りの美しさです。6月教育実習生がきました。
私の授業を見学したいと言ってきたときには、生徒と同じように授業に参加して下さい、と言います。
あるクラスで授業の最後に意見を発表してもらった時、生徒達から拍手が起きました。
温かいクラスだなと思いました。
別のクラスでは、疑似体験授業をするために、メモ用紙を一人12枚ずつ取るように言いました。
皆自分の分を数え、後ろの人に残りの紙を回します。
列の最後の生徒は、どうしたか。後ろに実習生が座っていました。
彼女は自分の所にきたものをそのまま実習生に渡すのでなく、12枚ずつ数えてから後ろにいる実習生に渡しました。
中二でこんな気配りが出来るのだと、嬉しくなりました。
美しい心、他にもたくさんあると思います。これからも追及していってください。

この後、コーラス部の関東大会出場壮行会がおこなわれます。頑張ってきてください。
コーラス部が9月14日、八幡様の例大祭に歌を奉納した時、埼玉の方からお手紙をいただいたそうです。
“先日鶴岡八幡宮にてコンサートを拝見させて頂いたものです。
別用で鎌倉に足を運んでおりましたが、素敵な音色に誘われ日常を忘れ素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。
「好きな歌を精一杯うたいます」と清く爽やかに晴れ晴れとした表情で歌う皆さまに心打たれました。
これからも頑張ってください。感謝。”
というお手紙でした。聞く方に感動を与えられるような美しいハーモニーを創り続けて下さい。