
2015年07月13日(月)
先日、伊藤園新俳句大賞の入賞作品をお知らせしましたが(こちらを参照)、その中の、教員:N.K.作「夕闇に 球児の声聞く 獺祭忌」は、どういう意味なのか、そもそも「獺祭忌」とは何と読むのか、と質問されました。そこで、作者自らが、この場を借りてご説明致しましょう。
◇「獺祭忌(だっさいき)」とは、正岡子規の命日のことです。なぜ、子規の命日を「獺祭忌」と呼ぶのかというと、獺祭の説明から始めましょう。「獺」はカワウソのことで、カワウソは獲ってきた魚を祭壇に並べるかのように揃える習性があることから「獺祭」と云われています。子規は短歌・俳句・詩文等の資料を部屋中に広げて執筆にあたっており、そのことから自ら「獺祭書屋主人(だっさいしょおくしゅじん)」と号してもいました。
そこで、子規の亡くなった9月19日(明治35年)を後年、獺祭忌と呼ぶようになりました。
◇次に、その正岡子規が、なぜ野球と関係あるのかというと、子規は、日本にベースボールが伝わったころからの愛好者で、自らも仲間を集めては野球に興じていたと云います。野球用語の翻訳も手がけており、2002年には特別表彰者として野球殿堂入りをも果たしています。
◇最後に、「球児」とは、我が家の近所にある高校(横浜商科大学高等学校)野球部のことで、何度も甲子園に出場したことのある強豪校のことです。昨年の9月の某日の帰宅途上、球を打つ金属バットの高音と、威勢良くかけ声を掛ける球児の声が、夕焼け空と相まって印象的でした。
丁度『ノボさん~小説 正岡子規と夏目漱石:伊集院静著』を読んでいた頃でもあり、正岡子規のことが頭に浮かんだ次第です。奇しくも9月19日、野球を愛した子規と球児を連想して作った俳句という訳なのです。
◇以上のような説明を職員室でしていると、英語科の某先生からは「理屈っぽ~い」と揶揄されてしました。それ故に、特別佳作賞止まりなのでしょう…。お粗末様でした。 文責:N.K.
前のお知らせ:しぶごぶ先生の中学入試合格への道 No.086
次のお知らせ:しぶごぶ先生の中学入試合格への道 No.087