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12月7日 前侍従長 川島裕氏講演会が行われました

2016年12月09日(金)

12月7日(水)に高校生対象の教養講座が行われました。今年は、前侍従長の川島裕氏をお迎えして『両陛下の戦後70年』というテーマでの講演でした。

川島氏は外務省を退官後、10年以上にわたって宮内庁で両陛下のお側にお仕えなさっていたとのこと。今上陛下のお考えに直に触れての思いや、国内外の行幸に随行された際のエピソードなどをお話をなさって下さいました。
外務省から宮内庁に移った当初は、戸惑いつつも面白いこと興味深いことが多々あったとのことでした。そんな中で、様々な宮中祭祀や歴代天皇の式年祭などを通じて皇室のあり方を理解なさったとのこと。
その一つとして、象徴天皇について、具体的なエピソードを交えつつ紹介して下さいました。憲法にある、象徴としての天皇という考え方に対して、長い歴史の中で天皇が政治権力の中心として権威付けされたのは明治維新以降のわずかであるということ。戦後の象徴天皇のあり方は、維新以前の本来の皇室のあり方に戻っただけという考えを今上陛下もお持ちであるということ。
また、国民の幸せと平和を祈り願うことが陛下のお気持ちであり、それは、東日本大震災に際して7週間にわたる慰問のお見舞いにも表れていたことなど、身近にいたからこそわかるお話として語って下さいました。さらに、皇居に諸外国の大使が謁見に参内する際のこととして、国の大小にかかわらず、陛下は等しく接していらっしゃると紹介し、そのお姿こそが国際親善の根幹であると、川島先生のお考えを述べられました。その川島先生の言葉は生徒にもしっかりと伝わったようです。最後に生徒の感想文の一部を紹介します。

「講演が終わった今、私が考えるのは、いわゆるシンボルとしての抽象的な天皇のお姿ではなく、自分の運命と国民の平和・幸福を祈る一人の人間としての天皇のお姿です。…私たちに本当に多くのことを考えさせ、天皇に対する新たな捉え方を教えて下さった川島先生に深く感謝しています」
文責:高3学年主任N.K.
川島裕