入試に関するお知らせ

3月1日、卒業証書授与式が挙行されました

2017年03月02日(木)

3月1日(水)、卒業証書授与式が行われ、普通科121名、音楽科15名、合計136名が晴れて卒業の日を迎えることが出来ました。

校長先生からは、6年前の東日本大震災を振り返り、命の尊さに触れるとともに、それでも「面白い」という言葉を大切にして欲しいと語りかけて下さいました。「面白い」とは「面=表情」が「白=明るい」状態になることであり、卒業後の人生でも「面白さ」を失わないようにと語られました。

また、理事長先生からは、「旺盛な好奇心をもってあらゆることに臨んで欲しい」と語られ、更に混迷する今の時代だからこそ異なる価値観への寛容さを失わないようにともお話下さいました。

PTAや同窓会の方々からの祝辞と粛々と式は進みましたが、在校生からの送辞あたりになると、感極まった3年生の列からはすすり泣く姿が見えりように。更には、卒業生を代表しての答辞となると、3年生のみならず保護者席や教員にも。3年間の万感の思いを込めて綴った答辞を掲載します。

この答辞にこそ、本学園の姿が込められているとも云えましょう。
卒業生に幸あれと祈念致します。    高3学年主任:N.K.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

答辞
寒さを乗り越えたものたちの息吹が髪をゆらし、春を感じる季節となりました。本日は私たちのために、このような厳かで晴れやかな式を挙行して下さり、誠にありがとうございます。また、理事長先生、校長先生、ご来賓の皆様からの温かい祝福のお言葉に心より感謝申し上げます。

坂道を登ってゆくと、肩にほのかな桃色が舞い降りて、ふと見上げたら、満開の桜が青空に咲いていました。そのような光景が私たちを迎えてくれたあの日から三年の月日が経ち、今私たちは“卒業”という形で学園生活に終止符を打とうとしております。あたり前だった毎日が今日で終わる。過ぎゆく日々の尊さを噛み締め、寂しさと愛しさの思いを胸に抱きながら、私たちはまた気づかされるのです。“時間は有限である”ということを。

思えばこの三年間、一日たりとも空白の日など存在しなかったと、今は胸を張って言うことが出来ます。

春雨の朝、靴音を鳴らしながら、覚えたての友の名を気恥ずかしい心持ちで呼びました。少し前まで知らなかった相手。知ろうとしなかった相手。しかしその相手の名を呼んだ時、もうその人の人生の一部に入り込んでいるのかもしれません。ほんの一瞬の出会いが一生の出会いとなるのかもしれない。そのようなことを、今自分の周りにいる友人たちの顔を思い浮かべながら感じることが出来ました。

ガラス玉に身を包んだ紫陽花がきらきらと輝く中、普段以上の熱気がグラウンドを駆け巡りました。楽しさと悔しさ、暑さと爽快さ、様々な矛盾した思いが入り交じった体育祭。特に三年生の時に踊ったカドリールは、私たちの中に強烈な印象を残してくれました。それは、積み重ねた練習・記憶を辿りながら踊りきった時に感じたものでした。それと同時に、また、一つ、自分たちも伝統を繋げることが出来たという達成感が胸を熱くしたのを覚えております。

残暑を惜しむひぐらしの鳴き声と共に、学園中に私たちの声が響きわたりました。合唱コンクールや文化祭では、時に意見が分かれ、ぶつかり合うこともありました。何故もっと円満に進めることが出来ないのかと思う日もありましたが、ぶつかり合うことも、一つの意味をなしているということに気づくことが出来ました。ぶつかり合わなければ互いを知ることは出来ないのです。その人の気持ちの硬さも、心の脆さも、そして散らばった破片を見て、初めて互いに痛みを覚えるのです。そして互いに思いやりを持てるのです。だから心を一つにして、一つの歌や一つの作品を創り上げることが出来るのだと思います。

様々な行事が学園生活に彩りを添えていく中で、最も私の心に残った行事は、二年生の三月に行われた修学旅行でした。戦争末期、特攻隊が沖縄戦線に飛び立っていった福岡の大刀洗飛行場や、原爆によって多くの人が灰や影となった長崎に赴いた際、七十年前の惨劇に胸が張り裂ける思いを抱きました。もう二度と過ちを犯してはならない。“戦後”を永遠にしつづけなければならない。そのような責務が今を生きている私たちにあるのだということを再認識した平和学習でした。また、平和は日々の生活の中での話し合いや、夕食を皆で食べる楽しさや、就寝前のお喋り。旅行中の小さな平和も、やがて大きな平和に繋がってゆくのだということにも、気づくことが出来ました。

学習面でも、頻繁に行われる小テストなどによって「分からない」はその日のうちに無くすということを教わりました。毎日毎日大変でしたが、それが結果的には受験勉強に大いに役立つことになりました。

このように、北鎌倉女子学園は優しく、温かく、静かに、私たちに様々なことを教えてくれました。銀杏が美しく色づく時も、足元に残る冬の感触を踏みしめている時も、下校時間十分前に流れる音楽と共に私たちを見送る茜色に照らされた山々のように、静謐な空気を保ちながら私たちに安心感を与えてくれる。そのような学園で過ごした時間は、私たちのこれからの人生の大きな糧となったと思います。

今日、私たちは、高校を卒業していきますが、まだまだ学ぶべきものは多く、不安も多々あります。この先に残る数年間の青春時代は、たとえるならば、とても細く歩きにくい道と言えましょう。「一歩でも踏み外したら二度と歩み出せないのでは」という恐怖から下ばかりを見て、なかなか前を向いて進み出すことの出来ない、そのような時代なのかもしれません。それでも、勇気を出して一歩ずつ前に進んで行けば、いろいろな人と出会うことができるはずです。その一歩を踏み出す力を、今日までの三年間で学んできました。そして、その出会いが、私たちの道を広く歩きがいのある道にしてくれることでしょう。そしてまた相手も、自分との出会いで、歩いている道に変化が生まれるかもしれないのです。人との出会いに、一方通行など存在しません。互いに相手を必要とする。そのくり返しが日常であり、人生だと、私は思います。

先日、素敵な送別会を開いて下さった在校生の皆さん。ありがとうございました。これからも日常を大切にし、皆で力を合わせて学園生活に邁進して下さい。そして、絶やすことなく伝統を受け継ぎ、実りある日々をお過ごし下さい。

最後になりましたが、理事長先生はじめ諸先生方、今まで大変お世話になりました。私たちにとって、先生方はこの学園そのものです。今日まで教えて下さったことを道標とし、これからの人生を歩んで参ります。学園のさらなるご発展と諸先生方並びにご来賓の皆様の御健勝と御多幸を心よりお祈り申し上げ、答辞といたします。

平成二十九年三月一日
北鎌倉女子学園高等学校
普通科第六十八回  音楽科第四十七回   卒業生総代 R.S.


s-DSCF4258 s-DSCF4267
校長先生から卒業証書を受け取る、普通科総代のY.S.さんと、音楽科総代のY.A.さん。

s-DSCF4305as-DSCF4297
答辞を聴きながら涙する卒業生と、万感の思いを込めた答辞を読むR.S.さん