入試に関するお知らせ

<校長>校長のつぶやき vol.003

学園三長の部屋 2020年05月08日(金)

みなさん、元気ですか。

新緑に包まれた鎌倉の山々は、いま、柔らかな若葉が伸び、ふっくらとした姿を見せています。学園ではつつじの時期は過ぎ、駐車場や千草庵の道端に芝桜が、音楽館と東館を結ぶブリッジの下にシャリンバイが、そしてハルジオン、ヒメジオンがいたるところに咲いています。また、坂道のアジサイは小さな小さなつぼみを沢山つけています。ウグイスや黒ツグミの鳴き声が響いています。時はまさに初夏です。しかし、緊急事態宣言が延長され、この季節の学園の姿をみなさんと一緒に見ることができないことが残念です。でもアジサイが坂道を彩る前には、きっときっとみなさんに会えると信じて事態が好転するのを祈っています。

 

さて、現代に生きる私たちは、どこにいても必要な情報を手にすることができます。地球の反対側に住む人々とも、時を待たずに話をすることができます。初めての場所でも、スマホが連れて行ってくれます。知らない言葉も、スマホが翻訳してくれます。ICT機器さえ使えれば、何でも一人でできそうな気がしてきます。

 

しかし、「君がいたからがんばれた。」この経験は、当然ながら決して一人ではできません。それができるのが学校です。学校は学習する場所であることは確かです。しかし、それだけが目的の場所ではありません。教え、教わりつつ友人と共に学び、行事や部活動で協力したり、衝突したりしながら、お互いに助け合い、励まし合う中でかけがえのない大切な存在を得ることができる場所です。学校は、そのようなより良い人間関係の作り方を身につけながら成長する場所でもあります。その意味では、残念ながらいま学校は本来の役割を果しているとは言えません。

 

外出自粛の状況の中で、オンラインの学習はできていますが、行事や部活動等を通しての人間関係の場が欠けています。しかし、形は違ってもお互いに関わり合うことはできるはずです。長引く自宅での時間に多かれ少なかれ誰もがストレスを抱えていると思います。それでもみんな自分なりに工夫してストレス解消を試みているのではないでしょうか。例えば、LHRの時間に「私はこんな風に気分転換をしています」等、情報交換をすることで、「私だけじゃないんだ。みんな頑張っているんだ」、「こんな考え方もあるんだ」と、自分とは違った視点に触れることができます。いまはだれもが初めての時の過ごし方をしています。この状況の中でもいろいろな方法でコミュニケーションを保つことができると思います。例えば、前回紹介した中学生の新俳句やエッセイのような形もその一つだと言えます。担任の先生やクラスの友人と自分たちなりのコミュニケーションの方法を考えてみてください。いままでの日常とは違ういまだからこそ、この状況だからこそ新しいコミュニケーションの方法が生み出せるかもしれません。チャレンジしてみてください。

 

人と関わるときの心構えを一つ知っておいてください。自分が言われて、自分がされて「嫌だったこと、悲しかったこと」は決して人に言ってはいけません。してはいけません。反対に「嬉しかったこと、ありがたかったこと」を人に対してどんどんして行きましょう。意地悪な気持ちで、悪意をもって人に向き合うことはしてはいけないことです。人として最も醜い姿です。いま、「見えない敵」に不安を抱き、間違った方法で苛立ちを他人に向けている人々の行為が報道されています。悲しいことです。  一人ひとりが大切な存在で、お互いに協力することが求められている時です。そこで今日は、そのことを考えてもらうきっかけになればと思い、今年3月18日、ドイツのメルケル首相がコロナウィルス対策についてドイツ国内に住む人々に理解と協力を求めるために行った演説の一節を紹介します。

 

「今日私にとって最も緊急性の高いものについて申し上げます。私たちがウィルス

の速すぎる拡散を阻止する効果的な手段を投入しなければ、あらゆる国の施策が無駄になってしまうでしょう。その手段とは私たち自身です。私たちの誰もがウィルスにかかる可能性があるように、いま誰もが皆協力する必要があります。まず第一の協力は、今日何が重要なのかについて真剣に考えることです。パニックに陥らず、しかし、自分にはあまり関係がないなどと一瞬たりとも考えないことです。不要な人など誰もいません。私たち全員の力が必要なのです

私たちがどれだけ脆弱であるか、どれだけ他の人の思いやりのある行動に依存しているか、それをエピデミックは私たちに教えます。また、それはつまり、どれだけ私たちが力を合わせて行動することで自分たち自身を守り、お互いに力づけることができるかということでもあります一人一人の行動が大切なのです。」

(林フーゼル美佳子さん訳)

 

一人ひとりが当事者意識をもって、いまの状況を自分の課題としてとらえることの必要性を説いています。できればインターネットで検索して全文を読んでみてください。

 

春先からウィルスと闘う重苦しい日々が続いています。目に見えない敵と闘うことは容易なことではありません。これは私たちの時代だけではなく、人類の歴史上、ペストや天然痘、コレラ等多くの感染症との闘いがありました。根絶されたものもありますが、ペストのように時代を超えて大流行したものもあります。しかし、その都度人類は対処方法を探り出し、難局を乗り越えてきました。いま医療現場で頑張って下さっている方々や新しい治療薬を研究し、一日も早く人々に安心を届けようと頑張って下さっている方々がいます。では私たちはどうすればよいのでしょうか。それが先ほど紹介したメルケル首相の言葉に示されているのではないでしょうか。我慢することが求められているのならば、我慢しましょう。いまはもっとも身近な家族と支え合い、外出を自粛することで事態の収束に協力しましょう。のちに振り返った時にいまこの時が有益で素晴らしい時間であったと思えるように過ごして行きましょう。

 

もう少しの辛抱だと考え、元気に笑顔で乗り越えて行きましょう。

 

2020年5月8日

北鎌倉女子学園中学校高等学校

校 長 今泉 仁