学園からのお知らせ

〈理事長〉令和4年度卒業式式辞

2023年03月01日(水)

みなさま、卒業おめでとうございます。
保護者のみなさまもおめでとうございます。

みなさまが当校に在籍した期間はたいへんな時期でした。
ひとつはコロナです。
入学早々オンライン授業などになってしまいました。

もうひとつはウクライナ戦争です。
映画の世界かと思っていたような戦争が今も続いています。
この瞬間にも地下室に息をひそめている子供たちもいます。

これから勇ましい議論をする人も出てくるでしょう。
しかしひとつ頭に置いて頂きたいのは、みなさまは絶対に戦争に反対して頂きたいということです。もちろんウクライナのように攻められたら仕方ありません。

これから大学など上級学校に進学される方々に、二つ具体的なアドバイスをしたいと思います。

これから数年間、みなさまは時間の宝庫に恵まれます。就職すれば残念ながらそれは終わりです。この貴重な間何をするか。ぜひ名作と言われる本や映画を読んだり見たりしてください。
まず読んで頂きたいのは戦争に関わるものです。
お勧めしたいのは
「アンネの日記」です。オランダに住むユダヤの少女がナチスから隠れて暮らしますが、結局捕まり収容所で15歳で死んでしまった子の日記です。
戦争というのはけっして大砲やミサイルの撃ち合いだけではあ
りません。飢えもあります。すべての楽しみが奪われてしまいます。
五味川純平の「人間の条件」も戦争がよくわかります。映画なら「風と共に去りぬ」、「日本の一番長い日」などが面白いと思います。
おめでたい卒業の日に暗い話だと思うかもしれません。でも本当に大事だと思うのでお話しました。

二番目は日記をつけることです。来年からと言わず、すぐ始めてください。時間を持て余していたアンネのような膨大な記述でなく、簡単に何をしたか淡々と5年日記などに書くのです。あまり感情的なことを書くと後で嫌になって読み返したくなくなります。あなたの一生の軌跡となります。

みなさまは今日でこの学園を去られます。でも学園は忘れないでください。
先週サンフランシスコに行きました。総領事館のパーティーで着物姿の若い女性が寄ってきました。キタカマの卒業生ですと名乗るのです。
ああ世界中で活躍しておられるのだなと嬉しくなりました。
みなさまともまたどこかでお目にかかりましょう。
お元気でご活躍を祈ります。

改めて、おめでとうございます。

令和5年3月1日
北鎌倉女子学園高等学校
理事長 藤崎一郎