学園からのお知らせ

〈学校長〉令和5年度卒業式式辞

2024年03月01日(金)

桜の蕾が膨らみ、希望溢れる季節がめぐってまいりました。
ただ今卒業証書を授与した 普通科100名、音楽科13名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
また、ご来賓の皆様、保護者の皆様、ご多忙の中、卒業式にご臨席賜り、誠にありがとうございます。
これまで卒業生を支えてこられた保護者の皆様におかれましては、今日の見違えるほど成長したお嬢様の姿に、感慨もひとしおのことと存じます。心よりお慶び申し上げます。

卒業生の皆さんの高校生活のスタートは、新型コロナの緊急事態宣言の狭間の時でした。新しい授業形態に戸惑うことが多かったと思います。
その後も震災や戦争など、国内外で災禍が続きましたが、皆さんは他者へ寄り添う気持ちを忘れず、本校での学びを通し、未来を生きるための知識やスキル、そして豊かな感性を育んできました。
学校行事や部活動でも創意工夫を重ね、リーダーシップを発揮し、常に下級生の模範となっていた皆さんを大変誇らしく思います。

さて皆さんには、この北鎌倉の地で、日本の伝統に触れる機会が数多くありました。日本の伝統文化に由来する「守破離」という言葉をご存知でしょうか。
茶道や武道、伝統芸能などで、修行における過程を「守る」「破る」「離れる」という3つの段階で示したものです。
「守」は、師匠の教えや型を素直に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師匠の教えなど良いものを取り入れ、工夫をして心技を発展させる段階。「離」は、教えから離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階を言います。
北鎌倉女子学園で「守」に真摯に取り組み、基本を身につけた皆さんにとって、本日のこの巣立ちの節目は「破」へのステップアップの時だと言えます。
この「守破離」の考えは、さらに2つの重要なことを教えてくれます。
一つは、将来、皆さんがどのような道、仕事を選択しても、まずは基礎・基本を学ぶという「守」の状態があります。「守破離」では、「破」や「離」の段階に登っても、それらは「守」の延長であるという考えを大事にしています。
「学び」に限りはありません。皆さんもより高みを目指して学び続けてください。世界や可能性が広がります。

2つ目は、「守破離」の本意とするところは、教えを守ることではなく、むしろそれを超える「離」に目的があるということです。それは本校の教育理念の「のびやかな自立」にも繋がります。
変化の激しいこれからの時代を生きる皆さんには、型にはまらず、しなやかに、身につけた知識やスキルを活かしてチャレンジすることが求められます。人生には、新しい出会いや発見がつきもので、選択と決断の連続です。挑戦しないことが一番の失敗だという名言もあります。
この「守破離」を忘れず、経験を糧に個性を開花させ、社会で活躍されることを大いに期待しています。教職員一同、皆さんを応援し続けています。

終わりに当たりまして、本日の卒業を祝って、ご列席いただきました保護者の皆様に重ねて御礼を申し上げますとともに、これまでの数々のご支援ご協力に対しまして、心より厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、本校で育んだ温かい思いやりの心で、人との繋がりを大切にし、自分らしさを失わず、どうぞ人生を謳歌してください。
一人ひとりの健康と、輝く未来に幸多からんことを心より願い、私の式辞といたします。

令和6年3月1日
北鎌倉女子学園高等学校
校長 佐野朗子